2011年12月18日日曜日

12月14日新国立・小劇場「みんな我が子」


アーサー・ミラー作 伊藤美代子翻訳 ダニエル・カトナー演出 新国立劇場小劇場 ~18日まで 20~21日大阪・サンケイホールブリーゼ
出演:長塚京三、麻実れい、田島優成、朝海ひかる、柄本佑ほか。


 第二次世界大戦後のアメリカ。ケラー家では、ふたりの息子のうち、ひとりが戦争で行方不明になった。そのまま3年が過ぎようとしている。
 また戦時中、ケラー家の夫ジョー(長塚)の工場から出荷された不良部品のせいで飛行機が墜落。21人もの若者が死亡してしまうという出来事があった。その出荷の日の責任者だったジョーのビジネスパートナーだけが有罪となり、収監されていた。
 そんなケラー家に、アン(朝海)がやってくる。アンは長男の恋人だった女性であり、収監された男の娘だった。二男クリス(田島)はアンと結婚するつもりだったが…。


 麻実さん演じるのは、戦時中に行方不明になってしまった息子の死をどうしても受け入れることができない母親。夫に従順な彼女は、普段は明るくふるまっている。
 だが、長男の話になると、深い絶望がじわりとにじむように現れる。長男が行方不明になったときから時が止まった哀しみが伝わってくる。
 静かに、ときに激しく、舞台を自在に引っ張っていく麻実さんの豊かな演技が素晴らしい。
 白でまとめられた舞台も、登場人物を浮き上がらせるのに効果的だった。
 余韻が深い。心にしみる、そして考えさせられる作品だった。

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