2012年1月28日土曜日

1月27日 下北沢・本多劇場「敦-杏子PRODUCE URASUJI~幕末編II~仇花~」

最初から最後まで、舞台狭しと駆け回り、
歌い、踊り、立ち回りもやってのけ、胸がすくような気風のいい啖呵も切って見せる。
かと思えば、ほろり切ない芝居も。
あっぱれ、杏子さん。


舞台に出てきたトタンに、客席がどよめかんばかりの存在感。
歌もうまい! メリハリある演技も魅力的。
とにかく何もかも達者なのだ。
まいりました。癖になりそうです。
深沢敦さん。
 初URASUJI! 
 衝撃だった。
 まるで大きなおもちゃ箱をひっくりかえしたような。
 一体、どう収拾するのか、できるのか。
 それを作・演出の松村武さんは、気持ちよく、ちょっと切なく、ぎゅうっとまとめあげる。とんでもない力技だ。


 舞台は明治維新後の動乱期。必殺仕事人(杏子さんが親玉)に、岩倉具視(深沢敦)暗殺の仕事が持ち込まれる。依頼人は、岩倉の贈賄を肩代わりさせられ、自ら命を絶った父親の無念をはらしたいと願う娘。必殺仕事人は岩倉を死に至らしめたと思いきや、岩倉は生きていた。なんとその上、治療と同時に性転換を果たし、ニューハーフとしてよみがえったのである。
 その手術を施したのは、現代からワープした仁みたいな、でも、おちゃらけ医師。そんな岩倉のもとには紅(藤田訳子・素晴らしいっ)という最強の女性使い手も加わって、岩倉・医師・は世界をわがものにという計画を実行し始める。
 依頼人の娘は、岩倉が依然として生きていることを知ると、兄とともに自ら岩倉を手にかけようとする。このとき、娘は金貸し(木の実ナナ)の息子・和助(中山祐一朗)に資金調達を頼む。和助の母は長州人で、高杉晋作とともに、新しい世界の樹立を求め、維新前夜、戦ってきた女性だった。


 踊り、歌、セリフ、殺陣。
 どのくらい稽古したのだろう。
 みんなの息がぴったりあっている。
 しかも思い切り、演じている。
 相手の芝居を見定め、パンと真剣に返す。
 芝居の神様に魅入られて、そのためだけに生きている。
 そんな役者たちの魅力全開だ。
 丁々発止が全編を通して続く。
 一瞬も目が離せない。
 おもしろくないわけがない。
 
 いつしかこの舞台にぎゅーっと引き込まれ、リズムにあわせて体が動いていく。
 芝居が好きで、この世界を信じている、真摯な彼らのパワーに突き動かされ、私も彼らの世界の住人になることができた。


 難しい荒唐無稽な物語なのに、見事!
 拍手ですっ!!


 熱く、心地よく、酔わせてくれる舞台!
 URASUJIの今後にも注目ですよ。
 

高杉晋作を愛した女性を演じた木の実ナナさん。
舞台にぱっと花が咲いたような華やかさ。
愛の深さ、そして未来を託す息子への深い思い。
維新前夜、新しい世を夢見ながら戦いで散っていった人々への想い。
余すことなく、表現し尽くす。
作品をキュッとしめる役割もナナさんならでは。
さすがでありました!


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