2011年11月26日土曜日

11月25日 東京宝塚劇場 宙組「クラシコ・イタリアーノ」

クラシコ・イタリアーノ
・演出:植田景子  主演・:大空 祐飛、野々 すみ花


 1960年代、戦後の経済復興に華やぐイタリアの首都ローマ。
 紳士服業界のトップ的存在として、イタリアで最も注目される人物と言われるサルヴァトーレ(大空)。彼は“Made in Italy”のスーツを世界に広めたいという夢をかなえようとしていた。彼のアメリカ進出をドキュメンタリー番組にしようと撮影スタッフもアメリカからやって来た……。

 イタリアの一流紳士服ブランドの代表的存在である“クラシコ・イタリア”。そのスーツをめぐり、伝統の技を継承するアルティジャーノ(職人)たちの想い、人の絆、様々な人間模様を描く。
 
 伝統とナポリ仕立ての職人だったサルヴァトーレは、人一倍、手縫いで仕上げることへのこだわりを持ち、同時に誇りも感じている。しかし、業界を率いていく立ち場では、そうした個人の思いを見せることはできない。やり方は変えても、なんとかクォリティを保とうとするサルヴァトーレ。
 しかし、ライバル会社は格安で品質の劣るものを作り、彼を追い落とそうとする。そしてサルヴァトーレが選んだ道とは……。

 いい仕事をするということ、人が美しく生きること。その難しさと喜びをしみじみ考えさせられる感動的な舞台だった。


ショー・アトラクト『NICE GUY!!』-その男、Yによる法則-作・演出:藤井大介


“その男、Y”とは、大空祐飛のこと。「男の美学」を追求。大空祐飛を中心とした宙組のさまざまな魅力を余すところなく見せる、華やかでダイナミックなショー作品。


それにしても、芝居といい、ダンスといい、後姿からもスタイリッシュな男性の香りが漂って、もうドキドキ。宙組男役トップ・大空祐飛さんは男役を完璧にものにしているんですねぇ。
http://kageki.hankyu.co.jp/revue/240/index.shtml

2011年11月20日日曜日

11月18日帝劇「ニューヨークへ行きたい」

「ニューヨークへ行きたい」上演台本・飯島早苗、演出・山田和也。
出演:瀬名じゅん、橋本さとし、村井国夫、浅丘ルリ子


ウド・ユルゲンスの曲が素敵なドイツ発のミュージカル。
テレビ・キャスターのリサ(瀬奈)の母で老人ホームにいるマリア(浅丘)はホームで知り合ったオットー(村井)とホームを抜け出し、新天地を求めてニューヨーク行きの船に乗る。リサは、オットーの息子・アクセル(橋本)と共に親を連れ戻そうと追いかける。はじめは反発していた二人だが、いつしか恋が芽生え……。という本当に楽しくハッピーな物語。


瀬奈さんは上昇志向の強いばりばりのキャリアウーマンをかっこよく、かつコミカルに演じて、とてもチャーミングだった。ときに元宝塚男役トップならではの、めちゃくちゃなまでの切れの良さに、胸キュンのファンも多かったはず。
 
 浅丘さんも素晴らしかった。年齢を重ねた女性ならではの優しさ、豊かさが演技からふわっと香り、見るものを幸せな気持ちにしてくれた。
 6月にシアタークリエで、佐久間良子、浅丘ルリ子、江波杏子、安奈淳と大物4女優共演の「姉妹たちの庭」を見た。そのときも浅丘さんが光っていた。
 今回は浅丘さん、はじめてのミュージカルとのこと。浅丘さんがこの役をやることで、作品に厚みが出たと思う。浅丘さんの包容力が舞台全体を包んでいたかのような感じがした。



10枚、切符を持っていくと、オリジナルTシャツをもらえるというプレゼントもあり、何人かの人が引き換えのために列を作っていた。10回見たなんて、ほんと、うらやましい。

2011年11月14日月曜日

11月14日平成中村座「十一月大歌舞伎」昼の部

平成中村座「十一月大歌舞伎」の昼の部


「双蝶々曲輪日記」
 人気関取・濡髪長五郎(中村橋之助)は、骨太で大物力士らしい貫禄たっぷり。放駒長吉(中村勘太郎)の軽やか&さわやかぶりと好対照。
 勘太郎は、濡髪がひいきの若旦那・山崎屋与五郎も演じた。茶屋の亭主の濡髪への賛辞にすっかり舞い上がり、持ち物を次々に与え、ついには濡髪の大きなどてらを借りて、亭主と二人して着込んで去ってゆく、その浮かれぶりがいい。


「お祭り」
 勘三郎が鳶頭鶴松を務める舞踊。ラスト近くで舞台後ろの扉が開くと、真後ろにそびえる東京スカイツリーと隅田川が現れるという趣向だったが、私の席からはスカイツリーが見えず、残念。


「義経三本桜」
 壇ノ浦の合戦で入水したはずの知盛は生き延び、船問屋渡海屋を営み、安徳帝を娘のお安として育て、平家再興をもくろんでいたという設定。知盛(片岡仁左衛門)は、頼朝から追われる義経一行をわざとかくまい、油断させる。義経を探しに来る鎌倉武士・相模五郎(橋之助)と入江丹蔵(勘太郎)の魚づくしのセリフが楽しい。
 戦に敗れた知盛は、大物浦で義経らから諭され、やがて復讐の気持ちが消えていく。そして平家一門のみ栄えよと父・清盛がふるまったからこういうことになったのだと納得する。そして碇綱を身体に巻き付けて入水するのだが、その碇を担ぎ上げた姿は凄絶だった。これで平家の恨みを鎮めるという決意が伝わってきた。


 花道で見得を切る、その場所のすぐ近くの2階席だったのが本当にラッキーだった。勘太郎の若々しい横顔、仁左衛門の端麗かつ豪快な姿が手に取るように見えた。
 額にきらりと光る汗の玉まで見えて、どきどき。
 役者の表情がしっかり見える席は、やっぱり最高ですね!

2011年11月10日木曜日

11月9日シアタークリエ「ピアフ」

「ピアフ」演出:栗山民也
出演:大竹しのぶ、田代万里生、他


 伝説のシャンソン歌手エディット・ピアフの生涯を描いたミュージカル。多くの恋人、酒、借金、薬物中毒など、波乱に満ちたピアフの人生が描かれる。


 大竹さんが素晴らしい。彼女の歌は魂の叫びだった。うまいとかどうとか、そんなレベルではなく、聞くものの心と体、その両方を震えさせる歌なのだ。


 特に後半の「愛の讃歌」「水に流して」は圧巻だった。歌にとらえられ、心身が激しくゆさぶられる。もうこの世に、彼女の歌しかない。彼女の歌で満たされている。そんな瞬間を味わった。


 理屈でも、セリフでも、ストーリーでもなく、彼女の体から発せられるものにシンクロして、気がついたら涙が頬を伝っていた。
 こんな体験ははじめてだった。


 大竹さんは北島マヤです。
 日本の宝です。 


おまけ:
 感動でぼーっとシアタークリエを出たら、そこに宝塚のファンの方々が出待ちをしていた。つい、私もそこで待つこと20分。
 なんと雪組男役トップスター、音月桂さんが現れ、目の前を通り過ぎ……。ああ、こんなことって…あるんですねぇ。


 音月さん主演の宝塚雪組公演「仮面の男」とドリームステージ「ROYAL STRAIGHT FLUSH!!」は10月21日に観劇。
「仮面の男」は、レオナルド・ディカプリオ主演でヒットしたアレクサンドル・デュマの同名原作の舞台化。ルイ14世とその双子の弟、フィリップの入れ替わりがテーマで、近衛隊隊長ダルタニアンと三銃士の活躍などを盛り込んだ冒険活劇だ。
 音月さん、二役を見事に演じ分けていた。
 そしてマッツこと、未涼亜希さんの三銃士がかっこよかった。ファンなんです。